冬うらら~猫と起爆スイッチ~
●
シーン。
車内は静かだった。
カーラジオもついていないし、カイトもしゃべらないのだ。
そんな空気の中、まだ自分の胸の鼓動さえも制御できないメイが、ペラペラとしゃべり出せるハズもない。
空気が重く感じられた。
車は本道に出て、スムースに流れ始める。
昨日見覚えた景色が、もういちど復習のようにメイの目の前で流れていくが、頭に入るはずもなかった。
こんなに近い距離で、しかも閉ざされた空間で―― カイトと2人きりなのである。
ちょっと手を伸ばせば、触れることなんか簡単すぎる距離。
そう思った時、彼の手がにゅっと伸びてきてビックリした。
まさか、いまの彼女の心を読んだのでは、と一瞬思ったがそんなハズはなかった。
カイトは左手でオーディオのパネルに触れたのだ。
ピッ、ピッと電子音を鳴らす指先。
押し寄せるような音の波が、後ろの方から伝わってくる。
カイトもこの静かさに耐えられないのか、ラジオをつけたのだ。
もしかしたら、いつも聞くのが習慣なだけかもしれないが。
洋楽だ。
それも、メイが聞いたことのある、有名なクリスマスソングだった。
もう、12月なのだ。
最初に来た時は、まだ11月だったし、クリスマスとかそんなレベルの思考が出来る状態ではなかった。
けれども、着実にカイトの側で時間が過ぎていくのが分かる。
まだ1週間でも、それをこんな歌で実感してしまった。
ちょうど終わりの方だったらしく、歌はすぐに終わってしまった。
パーソナリティの女性が、クリスマスの予定だの、今年のクリスマスの傾向だの楽しそうな声でしゃべりだす。
すると、カイトの手がにゅっと伸びて、またピピッとパネルを変更して―― 結局、ラジオを切ってしまった。
気に入らなかったのだろう。
限りなく静かになる。
ちょこんと助手席に座ったままのメイは、一人で考え込む時間を与えられてしまったのだ。
シーン。
車内は静かだった。
カーラジオもついていないし、カイトもしゃべらないのだ。
そんな空気の中、まだ自分の胸の鼓動さえも制御できないメイが、ペラペラとしゃべり出せるハズもない。
空気が重く感じられた。
車は本道に出て、スムースに流れ始める。
昨日見覚えた景色が、もういちど復習のようにメイの目の前で流れていくが、頭に入るはずもなかった。
こんなに近い距離で、しかも閉ざされた空間で―― カイトと2人きりなのである。
ちょっと手を伸ばせば、触れることなんか簡単すぎる距離。
そう思った時、彼の手がにゅっと伸びてきてビックリした。
まさか、いまの彼女の心を読んだのでは、と一瞬思ったがそんなハズはなかった。
カイトは左手でオーディオのパネルに触れたのだ。
ピッ、ピッと電子音を鳴らす指先。
押し寄せるような音の波が、後ろの方から伝わってくる。
カイトもこの静かさに耐えられないのか、ラジオをつけたのだ。
もしかしたら、いつも聞くのが習慣なだけかもしれないが。
洋楽だ。
それも、メイが聞いたことのある、有名なクリスマスソングだった。
もう、12月なのだ。
最初に来た時は、まだ11月だったし、クリスマスとかそんなレベルの思考が出来る状態ではなかった。
けれども、着実にカイトの側で時間が過ぎていくのが分かる。
まだ1週間でも、それをこんな歌で実感してしまった。
ちょうど終わりの方だったらしく、歌はすぐに終わってしまった。
パーソナリティの女性が、クリスマスの予定だの、今年のクリスマスの傾向だの楽しそうな声でしゃべりだす。
すると、カイトの手がにゅっと伸びて、またピピッとパネルを変更して―― 結局、ラジオを切ってしまった。
気に入らなかったのだろう。
限りなく静かになる。
ちょこんと助手席に座ったままのメイは、一人で考え込む時間を与えられてしまったのだ。