心の声を聞いて
「おぉ…この時間、人少ない」
感動しながら電車に乗る。
いつもなら立たなきゃいけないのに、今日は堂々と座れる。
…さてと。ついつい早く出ちゃったけど、まだ、こんな時間なんだよ。
なんて一人で考えていると不意に横から声がして、驚いて膝の上においていた鞄を落としてしまった。それはモロに誰かの足の上に落ちた。
「あ、あのっご、ごめんなさい!!」
「落ちついて、ユイ姉、俺だから」
制服をみると戸波校の制服だった。ゆっくりと上を見ると、目の前にいたのは、圭ちゃんだった。
「…え?圭ちゃん!ごめんっ…足…大丈夫?」
申し訳なくなり、声が小さくなる。そして、圭ちゃんを見ると、ものすごく不機嫌な顔をしていた。
「ごめんっ。大丈夫じゃないよねっボーとしててっ」
「大丈夫、全然痛くないよ」
そう言うと、圭ちゃんはあたしの横に座った。
「け…圭ちゃん早いね」
「学校まで、一時間かかるから、朝早く出ないと間に合わないんだよ」
「うわ~大変そう…」