水恋

「李津さ、入学式初日に会ってからずっと思ってたんだけど、素直じゃないよね、とことん」

哀れみの目を向けてくる先輩に、思わず殺意が芽生えそうになる。

「いや、素直ですけど、十分。思ったこと全部はっきりと先輩にはお伝えしているつもりですが」

「ハハハ。そういうことにしておこうか」

「何なんですか、さっきから先輩は」

「別に?あぁ、そうだ。俺のクラスの演劇、1時半からだから。良ければ見に来て」

話し変えた、この人。

「何の劇ですか?」

「ロミオとジュリエット。まぁ、ハッピーエンドだけど」

「へぇー。…先輩、なにや……」

思わず私は言葉を止めた。

模擬店で、「興味ない」と言ったのに、今更聞けない。

「何?」

おもしろそうに私を見る先輩。

「何でもありません!!!!!」
< 89 / 97 >

この作品をシェア

pagetop