牙龍 私を助けた不良 上




そのまま、接客を続けながら頭の隅で考える。


このところ、アイツを思い出すことが増えた。アイツが、彼に重なって見えるようになってきた。


アイツと別れて三年、彼に出会って半年近くが経つ。その月日は、全てが色濃く、鮮明に色づいている。


・・・誰とも、関わらないつもりだったいたんだけど。


私にそんな資格はない。温もりも、大事なモノも、守れなくて──傷付けた私には。


求めた力も、結局は私自信とそれらもを傷付けた。




『強大な力は、それだけ人を狂わせる妖華(ヨウカ)になる。──覚悟はあるの?』




この世界のいろはを教えてくれた、あの人は何時になく真剣に泣きそうにそう言った。


・・・結局は、無理でしたよ。


私は、毒々しい緋色(スカーレット)を──この身体に染み込んだそれは、一生消えない。



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