嘘カノ生活
容赦ない力であたしを追い詰める。
「やだ…っ」
間宮さんが近づいてたときと全然違う。
こんな威圧感、なかった。
「やだあ?そういうのも良いじゃーん」
面白がって目の前の男は余計に近づいてくる。
柄にもなく泣きそうだった。
だけどそんな風に簡単に泣いたら格好悪いと思って、ぐっと我慢する。
早く、早く離れたい。
「…みや、さん」
「あ?」
思い出したのは、間宮さん。
間宮さん、今何してるかな。
あたしが来るのの遅いから、先にバイト行っちゃったかな。
ぬいぐるみ、どうしてるかな。
「嫌そうな顔も可愛いな」
やだ…
男の顔とあたしの距離、2cmほど。
もう、無理だと思ったときだった。
「おい、何してんの」