嘘カノ生活

そこにいたのは、間宮さん。
 
 
「何してんのって聞いてんだけど」
 
怒った表情で男に近づいていく。



「お…お前こそ誰だよ」

男は負けじと言い返したけど、間宮さんの恐ろしい気迫に負けたのか舌打ちをして去っていった。


 
「まったく、あいつも気ーよえーな」

去っていった方を見ながらぼそっとつぶやいて、あたしを見る。

その視線が、とても優しくて。


 
「間宮、さん」
 
「ん?」

「先に、バイト先行っちゃったのかと」

「は?そんなわけないだろが」

「すいません、迷惑かけちゃいましたね」

 
 
必死で。

泣きそうなのを、我慢して。

声が震えるのも、我慢して。

間宮さんに、迷惑かけないように。


平常心を装って。

 


 
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