嘘カノ生活
「朝未、ほれ、さっきのぬいぐるみ」
「あ、すいません、結局袋もらえなくて」
「ん、いーっつの。外でよう」
何も言われない。
何か言えばあたしが泣くと思って気使ってくれてるんだろうか。
間宮さんはあたしの手を引いて、一歩前を歩ていた。
「なー、バイト遅れていこ?」
「え、ダメですよ!」
それからふとあたしの方へ振り返って、甘えた声で話し掛けてくる。
遅れたり休んだりしたらバイト代が減ってしまう。
いくらそんな可愛い顔して言われても、困る。
「だーめ。ちょっとそこの公園よってこう」
「ちょ…間宮さん!」
気を使ってくれてるのかなと思ってたけど、あたしの勘違いだったようで。
間宮さんはあたしの手を握って公園のベンチまで歩き始めた。
「間宮さんもバイト代減っちゃいますよ」
「俺は良いんだよ、金困ってねーし」
「あたしは困ってるんです、いかせて下さい!」
立ち上がって、バイト時間に間に合うように走り出そうと思ったけど、あっさりと間宮さんに腕をつかまれた