嘘カノ生活
「ま、座れ」

つかまれていた手をぐいっと引っ張るから、仕方なくベンチに座った。


「朝未さー、頑張んのは良いけどたまには休まないと倒れんぞ?」



どうして間宮さんはそういうことをいうんだろう。

心配してるみたいな素振り。



あたしの事、好きなわけじゃないんですよね?

ただおもしろがって付き合ってるんですよね?




「だって、働かないと、家困るし…」

「親にも心配かけてか?」

「え?」

「俺も一応知ってるんだよね、お前が働く理由。親も心配してんだろうな。娘こんな働かせて」

 

そう。

どうしてこの人は痛いところをついてくるんだろう。

こんな風に、優しく言うんだろう。

 
 


さっきからこらえていた涙が1粒ずつ、落ちた。
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