【モテ期到来】
俺の後ろからポニーテールを揺らしてひょっこり顔を覗かせると、アカリは大本を見上げて「ちわー」と笑った。
どこまでも図々しいアカリは大本を「おーもと」と呼び捨てにしたのには俺も驚いた。
「俺、初対面で呼び捨てにされたの初めて…」
「俺もだよ…コイツ、マジでおかしいから許してやって…」
すまなそうに大本を見ると、彼は「いいよ、別に」と苦笑した。
「おーもとはポジションどこだったの?」
「俺?俺はキャッチャー。判る?」
「判る!あそこに座ってる人ね!?」
「ん~…座ってる訳じゃないんだけどね?」
「えっ!?一番楽してそうだと思ったんだけど、違うの?」
「…ちげぇーよ…」
ボケた訳じゃないアカリに大本もどう反応したらいいのか困っていて、なんだかそのやり取りが面白かった。