【モテ期到来】
俺達は代わる代わるアカリに野球のルールを教えた。
試合は自分達が敗退した西高と優勝候補のE島学園だった。
西高に負けた俺達としては、西高に勝ち進んで欲しい。
だが、かなり追い込まれていて厳しい。
ゲームは既に8回が終わって3-1。
アカリの隣に居た大本が「…思い出すな…」と呟いた。
アカリは俺と大本の間で交互に顔を見ながら「何を?」と首を傾げた。
「…中学時代の俺達もこの状況に立った事があるんだよ。…練習試合だったけど、あの試合は忘れられないな…」
「勝ったの?負けたの?」
「太一のサヨナラホームランで逆転勝ち!凄かったぜ~!」
「凄い…!!やるじゃん、太一!!…見たかったな~」
アカリがそう言って俺を見詰めて来てちょっと照れ臭い。
お前に見せられたら…見せたかった…
そんな想いが一瞬過って俺は何も言えなかった。