【モテ期到来】
後ろから「ヘタクソ!」と聞こえて、私は背を向けたまま「ごめ~ん」って言った。
多分涙目になってるから太一に顔を見られたくなかった。
背を向けたまま、レジャーシートに置いてあるバックをゴソゴソと漁る。
真後ろに太一がいる気配がする。
私はタオルで汗を拭うフリをして涙を拭いた。
「アカリ?…疲れた?」
「うん…久しぶりだから…」
太一は「そっか」とシートに腰を下ろした。
「…俺もお前、好きだよ…」
薄暗くなりかけた公園の隅で太一が小さな声でそう言った。
…太一。私の好きと太一の好きは違うんだよ?
その言葉を飲み込んで私は太一の隣に座った。
「…アカリ…」
隣の太一に呼ばれて遠くの景色に目を向けながら「ん~?」と返事をした。