前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―
じゃあ遠慮なく…、うわぁああ、なにこれ、すっげぇえ大福が詰まってる。
しかもイチゴ大福じゃんか! 大福にイチゴさんが入ってる贅沢品じゃん!
一変して目を輝かせてしまう現金な貧乏くんは、「これを俺に?」くれるのかと相手に質問。御堂先輩は「一応三日前の詫びだ」と、言ってそっぽ向いちまう。
「君を…、置いて帰ってしまったからな。詫びくらいはと思って。
風の噂でイチゴが好きだと聞いてな。男のクセにイチゴが好きなんて可愛いじゃないかとか思ッ…ゴホン、詫びには相手の好きな物が良いと思ってイチゴ大福にした。
ちなみにそれ、白餡と黒餡があるから。シールが貼ってある方が白だ」
丁寧に説明してくれる御堂先輩に、「これから大福先輩と呼んでも」感動のあまり、学習したことも忘れて俺は相手に詰め寄った。
なんで大福先輩かって、そりゃあ大福をくれたからだ。
イチゴ先輩でもいいけど、生憎イチゴは既に使っちまってるしな。
イチゴ大福じゃ長いし、だから大福先輩って呼びたいところなんだけど。
でも相手には不評だったらしく即却下されちまった。
ちぇーっ、なんだよ、大福先輩って可愛くないか?
まあいいや。
頂いたイチゴ大福に免じて騒動のことは水に流そう。そうしよう。
仕置き?
どうにでもなるやーい(俺の中の現金図式「食べ物>仕置き」)。
ルンルンでイチゴ大福の数を数える。
全部で12個か。
白と黒、各々六個ずつってことになるな。
沢山貰っちゃったな。イチゴ大福なんて久しぶりだなぁ。
ご機嫌にイチゴ大福を仕舞って箱を閉じる。
でもって相手にお礼を告げた。
フンッと鼻を鳴らす御堂先輩はやっぱり俺にそっぽ向いて佇んでいたけど、「喜んでくれたなら」なによりだと蚊の鳴くような声でぽつりぽつり。
喜ぶも何も激喜ぶに決まってるじゃないっすか!
あ、だけど沢山貰ったってことは、俺も何か返さないといけないよな。
雰囲気的にも俺の家に上がらせるのが妥当なシチュエーション。このまま図々しく貰ってさいならするのはあんまりだし。
大福だって、折角ならご一緒に頂いてもらいたいしな。