前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―
起床したら学校に行って、学校の勉強。
それが終わったら、家に帰って家庭教師から経済や語学を教えてもらったり、実際に企業を回って現場を見たり、教養の幅を広げるためにゼーンゼンやったことのないテニスとかをやったり。
悲しきかな、芸術の成績がすこぶる悪いのに水彩画やお琴やピアノ等いたらん楽器をさせられたり(リコーダーすら不得意なのに!)
とにかく知識人且つ社交的な人間になれるよう、毎日俺は勉強しています。
ほんっと日々がてんてこ舞いでパンクしそうだ。
スケジュールがきっちり決められて、学校が終わったら今日は英会話が待っていますよ。
その後はフランス語を学ぶ時間として設けています。
明日は社会マナー講座に出てもらいますので念頭に置いといて下さい。
ああ、そうそう、家庭教師から出された課題は忘れずやって下さいねエンドレス。
自分の時間がまーったく持てない。
以前、鈴理先輩が自分の時間が持てなくて嫌だって嘆いていたけど、今ならその気持ちが痛いほど分かる。
将来を背負う令息令嬢の世界は、庶民出身の俺からしてみれば本当に窮屈だ。
自分の時間が持てないことがどれだけ苦痛か、もはや表現しがたい。
鈴理先輩が金持ちってことで毒づいてしまった中学時代の俺のことを毛嫌っていた理由も普通に頷ける。
おかげさまですっかり寝不足になってしまっている俺は、授業中に居眠りしてしまうことも少々。
寝不足になると偏頭痛を起こしやすくなるっていうけど、まさしくそれで俺は二日に一度は薬を飲まないとやってられなくなった。
目の奥がじくじく痛み出して、頭が痛くなるんだよな。
寝不足はやーね。
ただしこれは平日に限ったことで、土日は自分の時間を持てる。
淳蔵さんの慈悲なのか分からないけど、通常どおり土日は実家に帰宅することを許されている。
だからバイトを終わらせたら俺は即行で実家に帰り、布団を敷いておやすみなさい。
夕飯だと母さんに起こされるまでグースカグースカ寝て、夕飯を取ったらまたおやすみなさいと寝るのが土日の日課になってしまっている。
風呂にすら入らず寝ることも多い。
そんだけ睡眠を欲しているんだと思う。
勿論、家庭教師から出された課題や学校の宿題はやらなきゃいけないから、充分に睡眠を取った後、それをこなしている。
今、俺が欲しい時間は睡眠なんだ。
一にも二にも三にも睡眠。
多忙な毎日を癒してくれる一番の方法が睡眠だから。