前略、肉食お嬢様②―カノジョな俺は婿養子―
「子供って親の気持ちを酌んでくれない、厚かましい生き物なのでしょうね。
将来のことを考えて物を申しているのに、目先のことばかり囚われて背伸びしたことばかり言う。
空にも困ったものです。
勉強で大変なのに、バイトはまだ頑張って続けていますよ」
「豊福さんのご意見に私も激しく同意します。
実は三女の鈴理と、最近揉め事を起こしておりまして。将来のためだと思ってやったことも、受け入れてもらえずにいます。親の思いと娘の気持ちが反比例しているのです」
「そんなものですよ、子供なんて。
自分もこんな厚かましい子供だったか? と首を傾げたくなるものです。
いえ、厚かましかったんでしょうね。
あーもう一度、厚かましかった子供時代に戻りたいものです」
ライトアップされている噴水に目を向け、おかしそうに笑う裕作につられて英也も笑う。
本当に戻りたいですね、まったくです、と本音を交し合った。
「それでも子供って可愛いものですよね。私は子供に恵まれなかったので、空にお父さんと呼んでもらえてとても幸せなのです。
だからなんでしょうね。結局我が儘を許してまう」
先程の話に戻りますが、あの子がバイトをしたいって言って、私達は渋々許可をしました。
が、やっぱり勉強に差し支えると思って白紙にしようと思った時期がありました。
塾にすら通っていないあの子は、どうにか勉強時間を増やすことで奨学生を維持しています。
バイトと並行していけば、いつか学力が下がるのでは? と思ったんです。
だから空に言おうと思ったのですが……、無理でした。あの子が活き活きとバイト先から帰って報告してくれる姿を見ていたら、とても。
「勉強のことが気になりましたが、バイトはあの子の決めたことです。信じて見守ろうと思ったのですよ。
時に目先のことを精一杯頑張っている我が子を評価してやるもの親の務めかもしれません」
目を見開く英也に、「とはいえ不安でしょうがないんですけどね」学力が落ちて奨学生剥奪、中退なんてされたら、とネガティブなことを思うことも多いと裕作は苦笑した。
直後、「そうかもしれませんね」英也は理解を示し、前方を見つめる。
ああやっぱり親と子の気持ちは相反するものかもしれない。
未来を思う親と、目先のことを努力する子とでは、きっと。