清水の舞台
「そろそろ、帰ろうかな。勘定してくれ」

塩崎が言った。

「今日はごちそうさまでした。また、お会いしたいです」

真理子はまた必殺の笑顔でそう言った。

「今日は本当にありがとうございました。僕までたくさんごちそうになりまして」

倉田も二人の男に心の底から礼を述べた。

「で、いくらや」

もう一度、塩崎が聞いた。

「はい、二万一千円です」

塩崎は三万円をカウンターに置き、釣りはいらんよ、とキザに席をたった。

倉田は二人を外まで送り出しにでた。


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