空人1〜奇跡〜
ホームルームが終わり、クラスメートが楽しそうにお喋りしながら続々と教室を出ていく。
一方、俺は机の上に突っ伏したまま。
まあ動く気がしないんだから仕方ねぇんだけど。
ついでに言うと、担任に睨まれた気もする。
でもそんなの今更の話であって、特に問題はない。
窓から心地良い日差しが体に降り注ぎ、徐々に体の感覚が薄れていく。
ふわぁぁ……。眠ぃ。
それから暫くして。
う、うーん。
体を伸ばしながらゆっくりと目を開く。
徐々に体の感覚を取り戻し、視界がはっきりしてくる。
どうやら耳にも同じ事が言えるようで。
感覚を取り戻してすぐに、教室の中が異様な静けさに包まれているのに気付いた。
首を捻り、辺りを見回す。
って、誰もいねえ……。
開いている窓からは規則正しい掛け声が聞こえてくる。
おそらく野球部だ。
もう、部活はとっくに始まっている時刻。
ざっと計算して、一時間近く寝てた事になる。
はあ――…。
だからって、これからどうすんのが良いんだろうか。
……。正直、もっと寝たいというのが本音。
でも、これ以上誰もいない教室で寝続けるのは気が引ける。
再び寝落ちして誰かに見つかったりしたら面倒、おまけに親も煩いだろう。
……。よし。
短く息を吐き、椅子から立ち上がろうとする。
と、その時。
“タンッ、タンッ”
ビクッ。
全身に電流が走った。
いきなり肩を叩かれ、思わず体が反応してしまう。
な、何だ――…!?
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