消して消されて
仮にこれが本物だったとする。

それなら自分は尾崎博と同等の距離にいると思われる好きな人の記憶を失っていることになる。

「一体誰の記憶が消えているのだろう・・・」

元々尾崎自体唯から見て非常に遠い存在である。

記憶が消えていたとしても気づかない程度の存在の人だろう。

そう自分に言い聞かせた。

「唯ー。早くしないと遅刻するわよ」

階段の下から美咲の声が聞こえる。

唯は我に返ると急いで学校へ行く準備をして玄関を飛び出した。

< 12 / 102 >

この作品をシェア

pagetop