One Day~君を見つけたその後は~
「そう、そうなんだよ!」

「っていうか、教師を辞めるあいつの将来が一番心配だけどな」

「だよね!」


よかった。全然怪しまれていないみたい。


「それで、滝田はなんだって?」

「うん……『うちの大学に来ないか?』って」


滝田先生の出身大学はたくさんの学部を持つ総合大学で、前から気になっていたんだよね。

明日、もう一度きちんと相談してみよう。

……っていうか、昨日の話、ちゃんと覚えてくれているのかな?

缶ビールを飲みながら話していたし、かなり怪しい気がする。


だけど、こんな話をしていると、本当に自分たちが受験生なんだって実感する。

それに、みんな希望通りの大学に進めれば、一年後には“仲良し四人組”はバラバラになるんだよね……。


陽人は高1の時から体育大志望で、

チョコはそんな陽人のサポートがしたくて医学部に進むって決めたばかり。

ヤマタロは数学が得意だしコンピュータに興味があるから、そっち方面の大学を絞り込んでいるところで。

私はというと……数学や理科が苦手だから、文系に進むことだけは決めているんだけど。

他の3人みたいに「絶対これがしたい!」っていうものがあるわけじゃないから、気持ちばかり焦って、ふらふら、宙ぶらりん状態なんだ。

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