One Day~君を見つけたその後は~
オレが、
「ありがとうございました!」
と一礼してグラウンドへ戻るマネージャーを見送り、用の済んだ携帯を閉じようとすると、

「おいおい、ちょっと待て待て、待ちやがれー!」

それを陽人の手が遮った。


「なんだよ」

「いいから。お前、もう一回携帯見せてみろ!」


オレは言われるままに、携帯を陽人に渡した。

いや、奪われたといったほうが正しいのかもしれない。

とにかく陽人は興奮していた。


陽人はオレの携帯を奪い取ると、アドレス帳を勝手に開いて、更に雄叫びをあげた。


「ヤマタロ、説明しろ! これはどういうことだーっ!?」

「……は?」

「お前、去年チョコに呼び出されたとき、あいつの目の前でデータを全部削除したんじゃなかったのか? それなのに、なんでまだこんなにいっぱいデータが残ってるんだ?」



……ああ、そのことか。

思わずオレはニヤリとしてしまった。


「あのあと、チョコは泣くほど感動してたんだぞ。お前が迷うことなくデータを全部削除したって」

「あぁ……そうだな……」

やばい。
笑ってしまいそうだ。
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