Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
綺麗な笑顔で笑っていた音葉さんの顔が、気まずそうな笑顔へと変わった。



「京のこと本気で好きなら、もう関わらない方がいいよ」

「どうして…そんな事言うんですか」

「今まで京がどれだけ遊んできたか知ってるし、泣かされた女の子も多いから。今までの女の子とまりあちゃんタイプが違うから大丈夫かな、と思って……」



何それ…京ちゃんがどれだけ優しいかも、心の温かい人かも知らないくせに……勝手な事言わないでよ。



「京ちゃんは誰よりも優しくて、誰よりも人の痛みが分かる人です。それなのに、そんな風に言わないで下さい!!」

「私は京の幼馴染で、まりあちゃんより京のことを分かってる」

「人の心に触れるのに時間は関係ないです。言いたいことはそれだけですか?音葉さんと話したことは京ちゃんには言いませんから、京ちゃんが戻ってくる前にどこかに行って下さい」



私は音葉さんの目を見据えて、自分からは逸らさなかった。


逸らしたくなかった。


自分よりどんなに綺麗で、どんなに長い時間京ちゃんと過ごしていたとしても、京ちゃんに対する想いだけは負けたくなかったから。





< 100 / 253 >

この作品をシェア

pagetop