Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
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店を出てからまりあはずっとニコニコしている。


俺のあげた手袋を付け、時折それを見ながら照れた様に笑うまりあ。


本当、素直で可愛い奴。


まりあがくれたマフラーは、10代後半から20代前半の層から人気のあるメンズブランドの物だった。


調べてくれたのか、大切な男が好きなブランドなのか…。


まぁ、調べてくれたものだと思うことにしよう。



『さっき私なんかと過ごしていいのかって言ってたけど、まりあこそ良かったのかよ、俺で』

「私は京ちゃんと過ごす気満々だったよ。どうせ暇だろうなって思ってたし」

『お前と一緒にすんな!!』

「アハハハッッごめぇんっ」



腕にまりあの首を絡め引き寄せると、石鹸の柔らかくて安心する匂いがした。


俺の腕の中でわざとらしく抵抗しているまりあを、本気で離したくないと思った。



『京?』



名前を呼ばれ俺たちは振り返った。






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