Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
「ごめん…気付かなかったぁ……」



へこんだ顔をして携帯をプラプラさせながら謝るまりあを見て、しょうがないと思えちまうんだから俺は相当まりあに甘いんだと思う。



『心配した』

「アハハハ…」



微妙な笑顔を見せるまりあの頭をいつもみたいにクシャクシャすると、まりはいつもみたいに嬉しそうな顔をする。



『お前、熱あんじゃねぇの?』

「元気だよ!!走ってきたから今は火照ってるだけだよ」

『ならいいけどよ……』

「京ちゃんお腹空いたぁぁぁ!!」



人がせっかく心配してやってんのにこいつときたら…。


相変わらず色気より食い気だな。



『おい京っ!!』

『ん?』

『これやるよ!!他のクラスのチケット、俺もういらねぇから』

『さんきゅ』



チケットをくれた省吾に笑顔で頭を下げるまりあを見て、俺の心はざわついた。


まりあに何も言わずに腕を掴み、教室の外に足を進めた。






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