天体観測
車から降りると、外は真夏だった。夏の日差しは容赦なく僕らの肌を焼いている。蝉の鳴き声も凄まじい。

昼に捜査をすることを提案したのはマスターだった。夜見つけられなかったのだから、昼に捜すしかない。たしかにこれは当然のことかもしれない。

「やっぱ、何もないやんけ」

「まだまだ捜しはじめたばっかりだ」

僕らはもう一時間ほど道路に這いつくばっている。照り返しがきつく、汗は滝のように流れてくる。道行く人が僕らを不思議そうな目で見てくる。道路には傷一つなく、何も見つからない。はっきり言って最悪だ。

「前橋と雨宮はどうしてるやろう」

「そんな何年も会ってないみたいこと言うな」

恵美と雨宮は別の場所を捜している。手分けしてやるほうが効率は格段に上がるはずだ。

「これいつまでやんの?」

「何か見つけるまでさ」

「でも二年間の事故の証拠なんて見つかんのか?」

「見つけるんだよ」

「はい……」

それっきり、村岡は話さなくなった。

それからはお互い黙ったまま、ただ無駄に時間を消費しただけだった。
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