『若恋』若の嫉妬【完】
樹との偽物キスシーンは見たくないがドレス姿のりおをみたい。
そして当日。
風邪を長引かせてまったく劇の練習をしてなかったふたりの劇を見ることになる。
コメディだから笑えるからと最初は見ていられたが、キスシーンが近くなってくるといてもたってもいられなくなった。
「若、どうかしましたか?」
「りおのキスシーンが」
「どうせコメディなんだから若が拐っても笑いを取ってアドリブできるんじゃないか?」
榊と仁はニヤニヤしていた。
「若、拐いに行ってもいいですよ」
「………」
「本当にキスされるかもなー。あの男はりおさんを好きだし」
ピクッ
「りおさんも樹くんには気を許してるようにも見えますし」
ピクッ
「拐うならクライマックスですよ」
一度腰を下ろしたがまた立ち上がる。