サクラドロップス

カタタン、と・・・

30分置きにしか来ない単線の電車は民家のすぐ脇を通り過ぎ

カンカンカン・・・と響いてくる踏切の音を追い越して

昔アタシが通った、高台の上にある高校を遠くに見せて走り続ける。



高校まで続く坂道の両側には、まだ白に近い蕾をつけた桜の古木が並んでいる。

きっと今年も、もうすぐ・・・3月の終わりになれば桜は蕾を開き

4月、緊張してピキピキになっている新入生たちの気持ちを

淡いピンクの空気でほぐすだろう。



そしてアタシと同じように

卒業してからも

桜の季節になる度に、あの坂道を思い出して。



何故か時々

ほんの少し、センチメンタルな気分になったりして・・・ね。





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