サクラドロップス

この陽気のせいなのか、電車の窓から見た桜も、この公園の桜も、昨日より、ほんの少し、瞬き一回分ほど色づいているような感じがした。

桜の花が色づくほどに、アタシの心は切なく軋む。

どうしてかなんて

きっと、訳という訳もないのだけれど。


隣を見ると、エリカちゃんが早速コンビニで買ったメロンパンを出して食べていた。

パンを掴む指の爪には可愛いジェルネイル。

勿論一箇所も剥げてなんていなくて、アタシはそんなエリカちゃんを微笑ましく思う。

安藤も・・・どうせ追いかけるならこういう、若くて可愛い子にすべきだわ。

そう思いながらアタシがお弁当を広げていると・・・

「わーあ、昨日も思ったけど、今日のも美味しそーお。それ、ブリの照り焼きですかぁ?」

と、エリカちゃん。

アタシは中身を確認すると・・・

「・・・照り焼きじゃなくて幽庵焼きかしらね」

と、言ってしまい・・・

「え?」

「あ、は!エリカちゃん、幽庵焼きって食べたことある?食べてみない?美味しいわよぉ」

・・・きっと。

と、慌てて誤魔化すアタシ。

けれどエリカちゃんは

「ゆーあん焼きってなんですかぁ?」

と、ソチラに気が向いた様子。

・・・セーフ。







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