愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
「姉貴、何言ってるんだよ……」


「結婚する前でよかったじゃない? あんな人は忘れて、早く新しい彼女を……きゃっ」


気付けば俺は、体を起こして姉貴の華奢な腕を思い切り掴んでいた。


「それ以上言ったら、いくら姉貴でも許さねえぞ」


「何よ。何で怒ってるのよ?」


何で?
何でだろう……


「あたしはただ、志穂ちゃんは悪い女だって言っただけでしょ?」


「違う! 志穂さんは悪くない! あの人は、そんな人じゃない!」


「そうよ」


「え?」


「志穂ちゃんは、とってもいい子よ」


「姉貴、さっきは逆の事を言ってたよな?」


「あんたの気持ちを確かめるためよ。どうでもいいけど手、放してくれない?」


「あ、ああ、ごめん」


姉貴の白い腕には、クッキリと俺の指の跡が付いていた。


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