愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
「痛いなあ。痣になっちゃうじゃない」


「ごめん」


「いいわ。あんたに気付かせたんだから、これぐらいは我慢する」


「え?」


「祐樹は自分でも気付いてるんでしょ? 志穂ちゃんの事、嫌いになんかなれないって。あの子の過去を、本当は許せるって……」


「俺……、昨夜も酒に溺れて、知らない女を抱いちまったらしい」


「あらあら、バカね……。でもそれって、志穂ちゃんが失恋した時と同じよね?」


「確かに……」


「あんた、何で苦しんでるか、自分で分かってる?」


「それは……」


分かってるような、分かってないような……


「嫉妬よ」


「嫉妬?」


「そう、つまりヤキモチよ。阿部って人とか、志穂ちゃんが関わった全ての男に、あんたはヤキモチを妬いてるのよ」


< 195 / 220 >

この作品をシェア

pagetop