運命
「おい、光さんになに気安く話かけてるんだよ。」
柔道部員が転校生の肩に手をおいた瞬間その出来事は起こった。


ヒッ


「えっ」

急に身体が宙に浮く、ついつい漏れたマヌケな声。



そう転校生は自分の肩にかけられていた腕を掴み、


そして

ドカッ

そのまま部員を投げ飛ばしたのだ。

「……………………………………………………………えっ!?」

目を見開いていま目の前で起こった状況を理解する。


「ふー、だから言ったでしょ。俺強いって!」

投げたにもかかわらず胴着はいっさい乱れていない

投げ飛ばされた部員を見下ろしながら得意げに言うその姿になぜか見とれてしまった。


(て、なんで俺見とれてるんだよ)


ブンブンと首を横に何回か振る。

「おい、転校生。
どうでもいいが早く練習しろよ!」


俺はいまだに見下ろしている転校生に向かい話かける。


「転校生は転校生だけどさぁ、名前で呼んでくれよ!海って呼び捨てでいいからさ、俺も光って呼んでるからさ」

頭の後ろで手を組んで、俺を見ながら言ってくる。

冗談じゃない。
呼び捨てにする筋合いもないし呼び捨てにされる筋合いもない。


「はぁ!?
なんで呼び捨てで呼ばないといけないわけ?
て言うか、俺のこと勝手に呼び捨てにするんじゃねぇよ」


腕を組みながら文句言う。

すると転校生は顎の下をさわりながら、なにか考え始めた。そしてなにかを思いついたようだ。

一つの提案をだした。

< 28 / 30 >

この作品をシェア

pagetop