執事の恋人~召しませ。お嬢様~
今夜もイカされて、脳裏は真っ白になった。


「・・・」



でも、また苦しさと切なさがいっそ募る。



私の視界が曇っていく。



「春華?」


素に戻り、斗希が私の名前を呼ぶ。



「どうして泣いてる?」


自分では気づかぬうちに、瞳に涙を潤ませていた。


「・・・」


斗希は瞳の端に溜まった涙を指で拭ってくれた。



「斗希・・・」


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