執事の恋人~召しませ。お嬢様~
人には聞かれたくない話。



俺は車椅子を押して、誰もいないバルコニーに出た。



少し肌寒い夜風。



「ひざ掛けをお持ちします・・・」


「いらない…俺の話を聞け…」


「あ・・・」



さっきまでの様相とは全く違う大久保様。



「俺はこの通り…下半身不随だ・・・。俺だってスキでなったわけじゃない」



大久保様は動かない自分の両足を恨めしそうに見つめていた。




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