HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
去年あたしと水月は学内で噂になった。
だからあたしは水月が担任になることは絶対ないって踏んでたけど、
このメンバーを見て納得したよ。
前受け持っていたクラスの乃亜は自殺未遂をして、梶はいかにも素行の悪そうな不良。
あたしも去年は三年の先輩と派手に喧嘩して、階段の額縁で大怪我をするっていう惨事を招いた。
他にも真面目とは言いがたい問題児ばかり。
ようは水月は、学内の厄介者を押し付けられたってわけ。
何かあっても担任のせいにできるしね。
いかにも人のいい水月は、あたしの考えを否定したけど、
そうじゃなきゃあたしたちが同じクラスとか絶対ありえないから。
でもちょっと嬉しかったり。
ずっと水月といれるしね。
あたしは問題を解くために席を立ち上がった。
「鬼頭さん」
ふいに声を掛けられて、あたしは隣の席を見た。
すぐ隣では―――
この秋転校してきたばかりの、
久米 冬夜(Toya Kume)がにこにこ笑顔を浮かべていた。