HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
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今日も残り一時間を残して、学校は終わろうとしていた。
まとまりのないあたしたちのクラスはロングホームルームをいいことに、がやがやと煩い。
「静かに!文化祭の実行委員、まだメンバーが決まってないけど、やりたい人は?」
と水月が教壇で手を叩いている。
当然誰も挙手する者はおらず。
「雅、やったら~?先生のためにも」と乃亜がこそっと耳打ちしてくる。
「は?やだよ。面倒くさいじゃん」
「そうそ。文化祭なんてどうせふけるし」と前の席の梶。
二人はあたしと水月の関係を知る数少ない友人たち。
「なぁ文化祭の日さ、どっか行かね?お前もどうせふけるだろ?」と梶が振り向いた。
「行かない。ところでさ、文化祭実行委員って何人なの?」
「クラスで男女合わせて四人だよ。今のところ挙手してるのは森本 エミナだけ」
あと三人かぁ。長くなりそうだ。
―――森本 エミナ……
確かクラス委員長でもあったよね。
「実行委員が森本エミナだから、余計誰もやりたがらないんじゃない?」
乃亜はちょっと忌々しそうに森本エミナの座っている後方の席を見た。
いかにも真面目なガリ勉タイプの森本エミナ。いっつも一人でいて、全然笑わないし、とにかくとっつきにくい。
だけど成績だけは良くて、それが余計みんな気に入らないみたい。しかし生真面目な森本さんが何でこのクラスになったのか謎だ。
「前から思ってたけどさ、乃亜って森本さんのこと嫌いだよね」
あたしは気になってたことを聞いてみた。