HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~


「神代せんせー♪さよなら~♪また明日ね☆」


短いスカートをひらつかせながら女生徒たちの明るい挨拶がくる。


「さよなら」


髪を明るく染め上げて大人顔負けの化粧を施した女生徒たち。中には、


「先生~、今帰り??一緒にカラオケ行こうよ~」なんて明るく誘ってくる女の子も居る。


「行かないよ」と僕は苦笑い。


「不審者も居るかもしれないから早く帰りなさい。あ、くれぐれも気をつけて」


「はぁい」


校門には見張りの先生たちが立っている、とは言えやっぱり不安だ。


雅は今日、実行委員会で梶田と久米、それから森本というメンバーで居残りだ。


―――文化祭の出し物は早いクラスだともう準備をはじめている。


A組がいい例だった。


ロッカールームの上なんかに飾りに使う手作りオブジェとかが飾られていた。なかなか凝った作りで、こりゃ負けてられないな。なんて小さな闘争心に火がつく。


僕のクラスはどうなるやら。


委員会自体30分程度で終わるということだが、帰りは梶田に送ってもらうと言っていた。


雅のことも心配だったけど、僕は“久米メンタルクリニック”に行くことを決めていた。


久米は委員会で遅くなる。


彼の不在時間、父親に話を聞くほうがいい。


こそこそしているのがあまり好まないが、この際そんなことを言っていられない。








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