HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
「今日はね、サンドイッチにしたの。これがタマゴサンドで、これがレタスとチーズ、こっちがローストビーフ」
雅は楽しそうに言ってバスケットの中のサンドイッチを指し示した。
「随分手が込んでるね。おいしそう」
「水月はあたしが居ないとまともに料理しないでしょ?栄養偏るからちゃんと考えてるんだよ」
言われて僕は苦笑い。
まったくそのとーりです。
「デザートも作ってきたんだ。グレープフルーツのヨーグルトに、こっちの水筒はカフェオレ」
僅かに目を伏せて雅は説明をくれる。
僕は―――…雅の顔のパーツは基本どれも好きだけど、特に目伏せたとき、くっきとした二重瞼の目尻が淡い桜色をしているのを見るのが好きなんだ。
白い肌に、まるで桜の花が咲いたように華やかで、可憐で―――きれい……
じっと見惚れていると、大きな目を縁取る長い睫が上下して、
「聞いてる?」
と訝しげに見上げられた。
「聞いてるよ。おいしそうだ」
笑顔で答えると、雅は満足そうに笑っておしぼりを手渡してくれた。
ホントに…用意がいいな。
サンドイッチを一口、口に含んで「おいしい」思わず頬が緩んだ。
雅の手料理を食べていない期間は、たったの数日なのに随分と懐かしい味に感じた。
「雅はいいお嫁さんになるよ。でも進路希望には何も書いてなかったよね?実際のところどうするつもり?」
すぐ隣でツナサンドを口に付けている雅は、
「まだ分かんない。教師と医者だったら、あたしにはどっちが合うと思う?」
逆にそう聞かれて僕は悩んだ。
「―――…どっちも向いてない気がする」
なんて答えると、ちょっと頭を叩かれた。