HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
そうやってじゃれあいながら(?)ふざけあいながら…それでも楽しく食事をしていると一時色んなことを忘れられた。
例えば昨日の委員会でのことを雅の口から聞けなかったことに対しても、なんだかその悩みさえちっぽけなものに思えたんだ。
それぐらい彼女と一緒にいると、小さな悩みがどうでもよくなって、ひたすらに幸せに満たされる。
だけど―――
ちょうど食べ終えるぐらいのときだった。
バタン!
急に屋上のドアが開く音がして、僕はびくりと肩を揺らした。
幸いにもこの給水タンクの影は入り口から死角になってる。ついでに言うとグラウンドやその他の校舎からも見えない角度だ。
「ラッキ~♪人居ないぜ?おいっ根岸!ちゃんと見張っておけよ」
数人の男子生徒の声が聞こえ、僕はそろりと給水タンクの影から顔を出した。
背後で雅も何事か覗いている。
「……で、でも……本当に…大丈夫?その…バレたりしない…?」
どうやら根岸と言う生徒だろうか、小柄でいかにも真面目そうな彼がおどおどと答えている。
「だからお前に見張っておけって言ってるんだよ」
男子生徒たちが何をするのか影から覗き見ていると、男子生徒の一人が
―――タバコを取り出した。
僕の背後に隠れるようにして身を寄せていた雅と顔を合わせると、
僕は立ち上がった。
「ちょっと…今行ったらあたしたちのこともバレるじゃん」
雅が小声で抗議して僕の上着を引っ張る。
「君は隠れていれば大丈夫。生徒の喫煙を黙って見過ごすわけにはいかないよ」
仮にも僕は教師だ―――――
そう言い放つと、雅は諦めたように僕の上着を放した。
男子生徒たちは、まさか僕が給水タンクの影に隠れていたとは知らずに、手馴れた動作でタバコに火を灯している。
根岸と呼ばれた生徒はしきりドアの外を気にしていた。
「君たち、ここで何をしているんだ。タバコは校則……どころか、法律にも違反してるぞ」
僕が彼らの前に姿を現すと、彼らは一様に顔を青くして
「ヤベっ!」
慌てて火を消し、バタバタと走り出す。