HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
「え…!?ちょっと…!」
逃げていく生徒たちはびっくりして逃げることすら出来ずにいる根岸と派手にぶつかり、根岸は尻餅をついたが彼らは気にせずにバタバタと走り去っていった。
根岸は僕を見ると、顔を青くして逃げ出そうとしたが僕はそれを阻止した。
根岸の腕を掴んで立たせると、
「学年、組―――逃げていった連中の名前も教えるように」
と迫った。
根岸は僕に掴まれた腕と、僕の顔を青くなったままの顔で交互に見、そして激しくかぶりを振る。
「ぼ、僕何も知りません!あ、あの人たちとは無関係です!!」
僕はちょっと掴んだ腕に力を入れると、根岸は顔を歪ませた。
細腕だと見くびらないでほしい。こう見えても空手は段を持っているし、根岸は僕よりも10cmほど低い。
まこ、ならともかく、根岸の細腕一本で抵抗されるようなことはない。
「教えなさい。彼らは君と同じクラスなのか?」
「し、知らない」
それでも激しくかぶりを振る根岸に、怯えの表情が浮かんでいた。
それは僕が怖かったからじゃない。
僕に見つかったこと―――見つかって担任や親に知られること。
そして逃げていった彼らの名前を迂闊にしゃべると、今度自分が何されるか分かったものじゃない―――根岸のメガネの向こう側で黒い瞳が不安げに揺れていた。
「君は―――…もしかしてさっきの連中に苛めでも受けているのか?」
探るように目を細めて聞くと、
「……ち、違います」
と今度は弱々しく答えが返って来た。