HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~


短い休憩時間はあっという間に過ぎた。


せっかくの楽しいお昼が、思わぬトラブルで台無しだ。


バスケットやら、水筒やらを片付けながら、それでも僕は気になってたことを聞いてみた。


「A組と派手にやりあったって?職員室でも話題になってた」


「水月も石原とやりあったんだって?保健医に聞いた」


雅が悪戯っぽく微笑を浮かべて、僕は思わず苦笑い。


「石原先生がD組がアイデアを盗んだなんて言いがかり付けるからさ」


「だよね。盗むなんてせこい真似するかっつうの」


雅は唇を尖らせてレジャーシートを片付ける。


だけどその手をふと休めて、無表情に目を上げる。


「ま、あたしにはどうしてかぶったのか大体の見当は付いてるけど」


「大体の見当?」


僕が聞くと、雅は再び手を動かしてレジャーシートを片付ける。


「あくまで予想だし、はっきりと決まったわけじゃないから言えないけど」


雅が屈んでレジャーシートをトートバッグに仕舞い入れるところだった。


ふわりと風が吹いて、雅の短いスカートを悪戯にめくる。


「キャッ!」


慌ててスカートの裾を押さえたけど、僕にはばっちり見えてしまった。


濃いピンクに黒の線が入ったチェックの下着が。


今更女子高生の下着にどうこう思わないけど、好きな子のは――――……雅のは別だ。


ラッキーだった、な。


雅が眉を吊り上げて、


「見たでしょ?」と怒る。


「見えたんだよ。お風呂一緒に入る仲だし、今更気にすることないじゃない?」


なんて苦笑いを漏らすと、


「そーゆう問題じゃないよ。変態教師」


と、睨まれてしまった。




年頃の乙女心は因数分解よりも、複雑だ―――




< 196 / 841 >

この作品をシェア

pagetop