HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
少し頭を冷やそうと思った。
次の授業で使う資料も揃ったし、外に出て風に当たればちょっとは熱を持ったようなこの狂おしい気持ちを冷ましてくれると思ったから。
そう―――明らかに欲求不満だった。
彼女と離れているのは数日だって言うのに、学校では会えるはずなのに。
でも―――…
気持ちが悪い。
どこか噛み合っていない不快な感触がする。
『実行委員会議どうだった?』
『別にふつー』
『A組とアイデアがかぶったって?』
『ま、あたしにはどうしてかぶったのか大体の見当は付いてるけど』
―――『お前も鬼頭も揃って、久米のことを気にしてちゃこっちも気になるからね』
『僕は――……何も聞いていない』
『お互い秘密を持つのは良くないぜ?』
―――そんなこと分かっている。
分かっているけど、どうすればいいのか。
僕の頭の中で、記憶がまるでメリーゴーランドのように駆け巡る。
色とりどりの電飾をほどこした白馬に雅と僕は乗っているのに、だけど二人は同じ方向を回っていない。
手を伸ばしても指先は触れ合うことがない。
―――唇を重ねればそれは解消するのだろうか。
体を重ねれば不安な気持ちが払拭できるのだろうか―――
分からない。
分からないから、余計心地が悪くなる。