HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
僕はわざと空咳をして、後ろを向くとベッドのカーテンを引き彼らに背を向けた。
やっぱ年頃の女の子だから、親しくもない男の僕にそんなこと聞かれるのは恥ずかしいだろうな。
「―――…今月は…まだ……最近遅れ気味で…」
とおずおずと答える声が聞こえてきて、僕は聞こえてない振りをした。
「熱はなさそうだし、やっぱりただの貧血か」
なんて言いながら、シャッと突然カーテンが開いたので、またも僕はびっくり。
「……ひ、貧血…?」
探るように聞くと、まこは首を捻った。
「そうには見えんけど、一応診察してみる」
そう言いながら、まこは机の中に入っている聴診器を取り出した。
聴診器を首に掛け、再びカーテンの中に入っていくまこを見送り、それでもあんな顔色の悪い森本をこのまま放置していく気になれなくて、僕はまこの椅子でじっと彼の診察が終わるのを待った。
数分後まこが聴診器を外しながら、カーテンから出てきて、
「心音、呼吸音も正常。心雑音、頚動脈雑音も特になし。
風邪って感じではなさそうだ。でも貧血かもしれんから、一応血液検査をしてみる。採血するからお前はもう戻っていいぞ?
どの道少し休めば回復するだろうし、血液検査の結果はすぐに分からんしな」
そう言われて一応は安心できた。
まこが採血のための注射器なんかを用意しているとき、僕はそっとカーテンを開けて森本を見た。
「森本、一度血液検査をしてみるって。大丈夫、林先生はちょっと怖いかもしれないけど、信用のできる先生だから、ゆっくり休んでいきなさい。
次の授業は欠席することを先生に伝えておくから」
それだけ言うと、森本は不安そうに僕を見上げてきて、それでも僅かに頷いた。