HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~


「久米が犯人だとしても、そうじゃなくても……


何故二年と言うブランクがあったんだ?」


まこが顎に手を当て目を細めている。


楠の言葉を、彼も一応は信じているようだった。


まこもまた、いつもより緊張を帯びた声で唸るように画面を睨んでいた。


「二年……この犯人は未成年だと書いてある。ってことは少年院に入っていた時間と考えていいだろう」


「出所して、また鬼頭を狙ってる?ってことは久米じゃねぇよな。あいつの経歴ははっきりしてるんだろ?」


「ああ。はっきりとは確認してないけど、さすがに公的な書類に虚偽の経歴を書くことはできないよ。


特にうちは私立だ。少しでも不審な点が見つかれば学校側が彼を受け入れない」


「私立たって裏口入学でも何でもあるじゃねぇか。現に久米の父親はメンタルクリニックを経営してる。


規模から言ってもそこそこ儲かってるって考えてもいいと思うぞ?」


“裏口入学”か―――………


そんなこと考えたことがなかったな。


確かにうちの学校は、多くの保護者から寄付金などを受け取ってはいるが―――


「でも裏口入学させる金があるんなら、保釈金に回した方が早いよな。


何せ未成年なわけだし、高い金払っていい弁護士つけりゃ情状酌量で、刑が軽減され、


相手が初犯だったら、運がよけりゃ執行猶予だってつくだろうし」


ああ、分かんね!!


と、まこは声を荒げて乱暴に頭を掻いた。


二年のブランク――――…




恐らく…いや、間違いなく犯人は少年院に服役していたと考えていいだろう。


と言うことは自動的に久米が犯人説も消滅するわけだ。


楠もこの辺のことを考えたのだろうか……





残るは―――




久米は雅を庇い、守ったと言う



男子中学生―――?








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