HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
その告白に何て答えたのかは覚えていない。
ただ、その日あたしは美術バカと手を繋いで帰った。
夕暮れの町を二人で歩きながら、美術バカは空の色と同じだけ赤い色を頬に浮かべていた。
二人の影がどこまでも伸びていて、仲良く寄り添っている。
「鬼頭さん」
歩いている最中に美術バカがそっとあたしを呼んだ。
「早く……
早く
大人にならないで。
ぼくを置いて、一人で大人にならないでね」
変なの。
早く大人になりたい。って思うのが普通でしょ?
だけど、同じ位置で並んだ肩が、同じ歩幅で進む歩みが―――同じだけ伸びた影が―――
同じだけのスピードで成長していくことを―――あたしもほんの少しだけ願っていた。
だけど可愛くない、素直じゃないあたしが減らず口を叩く。
「そんなの無理。あたしだって成長するし。成長…するかな?胸はまだ大きくなる気がするけど」
「……!!」
美術バカはあたしの答えにまたも顔を赤くして俯く。
「バカ」
あたしは美術バカを覗き込んで悪戯っぽく笑いかけた。
「とーやのバーカ。
美術バカ」