HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
美術バカの顔が夕暮れの赤い空をバックに浮かび上がる。
その整った形のいい唇に淡い笑みが浮かんでいた。
忘レロ!
忘レルンダ―――
コンナコト―――忘レテシマエ!!
―――目覚めは唐突にやってきた。
ほとんど反射的に目を開いて、あたしは天井を凝視した。
割れるような頭痛を感じて、慌てて額に手をやる。
じっとりと手に汗が浮かんでいて、あたしは眉をしかめた。
とーや
とうや
冬夜。
久米―――冬夜―――………?
「やっぱりあいつ……あの美術バカ……?」
だけど、思い出そうとすると、またもあたしの頭をまるでカナヅチで殴られかのような激しい痛みが走り、あたしは思わず頭を抱えた。
『鬼頭さん』
久米があたしを呼ぶ。
『鬼頭さん……』
美術バカがあたしを呼ぶ。
『『鬼頭さん』』
だめだ。
思い出せない。
忘レロ
あれは―――誰の声―――………?