HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
案外早かったな。
もうちょっと掛かるかと思ったのに。
まぁ罠に掛かるまで仕掛け続けるつもりだったから、手間が省けて良かったっちゃ良かったが。
「心配しないでよ、乃亜。行こう」
あたしは立ち上がると、乃亜を促した。
「でもこれ、明らかに人為的なものじゃない?あんた変な人に狙われてたりしない?」
おばさんの一人が親切そうに声を掛けてくれたけど、あたしはそれに笑顔で返した。
「大丈夫です。それも一種の愛情ですから」
にこやかに笑いかけると、おばさんたちはちょっとたじろいだように顎を引き、それでも
「本当に大丈夫?」と疑わしそうにあたしを見てくる。
あたしはそれに何も返さず、ぺこりと会釈をすると乃亜の手を取り、学校まで向かった。
―――
「ねぇ本当に大丈夫なの?エスカレートしてきてるよ。昨日右門 篤史に会いに行ったからじゃない?これは警告だよ」
乃亜は学校に着くまで始終不安そうに顔色を曇らせていた。しきりと心配してあたしの手を握ってくる。
「大丈夫だよ。そしてゴミを引き裂いて荒らしたのは昨日会った右門 篤史じゃない」
「どうしてそんなこと言えるの?」
「物理的に証明できる根拠はない。だけど少なくともゴミを荒らしたヤツは昨日の右門 篤史じゃない」
―――あいつ……いや、“あいつら”って言った方が正しいか。
そんなバカなヤツらじゃない。
あいつらなら、こんな頭の悪さを証明するようなことじゃなく、もっと狡猾にやるはずだ。