HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
だけど久米はあたしの睨みにも動じず、薄く笑っただけだった。
「It is not having a class. (それじゃ授業にならないじゃん)」
「Seriousness?That's a laugh.(あんたが真面目?笑っちゃう)」
はっ、と吐き捨ててあたしは挑発するように笑ってやった。
久米は僅かに苦笑いを漏らすと、
「What interests you the most?(じゃあどんな話なら食いつくのかな?)」
そう言って目を細める。
こいつに話すことなんて何もない。聞きたいことがあれば、他から探る。
だけど―――、一言言ってやりたかったのは事実。
あたしは久米に体を向けると、真正面から久米を見据えた。
数学のときは水月が居て、やり辛かった。
でも今は違う。
あのときの可愛い(?)あたしじゃないんだよ。
あたしは睨みつけると同時に久米のネクタイの端を掴んだ。
久米が意表を突かれたように目を開き、まばたきを繰り返す。
あたしは詰め寄るように久米に顔を近づけ、こいつの顔を覗き込んだ。
久米は更に目を開き、じっとあたしを凝視してくる。
そんな久米に、あたしは言い聞かせるように囁いた。
「Don't get Noa into trouble.(乃亜を巻き込まないで)」
低く言ってやると、久米は少しだけ顎を引き、同じように隣の男子と会話をしている乃亜をさりげなくちらりと見、僅かに笑顔を浮かべた。
「I didn't mean it, honest.(巻き込んだつもりはないよ)」
あたしは更に強くネクタイの端を引っ張ると、上目で久米を睨みつけた。