HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
岩田さんは自分のことを頭が悪いと言う。
だけど、本当はすごくしっかりとしている。
話し方こそ少し不器用そうに詰まるけど、随分遠回りに思えて、だけど順序立てた話は結局何が言いたいのかきちんと繋がってる。
それに―――
「誰だって怖いものや苦手なことぐらいあるでしょ。
あたしだってある」
そう、誰にだってあるんだ。
好き勝手やってるように見えるだろうけど、あたしだって怯えることはあるし、
未だに苦手で克服できないものもある。
「ってかそう言うところをはっきりと認められる岩田さんの方が
かっこいいよ」
あたしの言葉に岩田さんは、はにかみながら笑った。
笑って―――くれた……
「あたしってさ、淡々としてるって言うか、こうゆう大事なことを伝えるときでさえ、可愛く言えないんだよね。
だからいっつも何を考えてるのか分からないって言われる。
うまく相手に伝えることができないみたい。
だからコミュニケーションがうまくとれないんだ」
「ああ、確かに!今も無表情だよ」
岩田さんは今度は声に出して笑い声をあげた。
「ってかそれは鬼頭さんの悩みなの?」
「悩みって程大層なものじゃないけど、あたしこんなんでごめんねって言いたい」
「言いたいって♪何気に主張!ってか何その口調♪ウける。鬼頭さんて天然??」
岩田さんはこんなあたしの言葉に、顔いっぱいに笑顔を浮かべながらボールを拾った。