HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~



発車して数分の後、


「先生ってモテるでしょ?新しい彼女すぐできるよ」


唐突に結ちゃんが聞いてきた。


「いや、全然。ってか欲しくないし」


即答。


ホントのことだ。


女性から見たら僕は“いい人”止まり。恋愛に発展することがあまりない。


気になった人が居ても、どう進めていいのかいつも悩むんだ。


これやったら嫌われるかな、うざがられるかな…なんて考え込んで


結局、


『水月くん全然誘ってくれないし、全然連絡くれないし、あたしに興味ないんじゃないの?』とよく言われてフラれる。


考え過ぎてそのタイミングを逃すパターンだ。


まこ、みたいに自信に満ち溢れてガンガン攻められれば、と思うこともしばしば。


一度で良いから、あの『肉食ですが、何か』みたいな済ました顔してみたいもんだ。


『自信なんてねぇよ。ただ考えるのが面倒なだけだ。勉強はいやて言う程してきたからな。恋愛ぐらい直感でいきたい』


なんて以前言っていたが、その台詞がまたもかっこよくて、だけど僕には逆立ちしても言えない台詞だ。


「と言う訳で、僕はモテないんです」


と結ちゃんに説明すると、


「あたしはそれでもいいけど?下心ばかりの男なんてイヤだもん。って言うかその先生のお友達面白いね」


と結ちゃんは明るく笑う。


面白いかどうかは分からないけど……でも、僕にとっては最高の友人だ。




まこ―――…、急いでたけど、さっきは急にどうしたのかな。



僕はさっきまで一緒だったまこの様子をふっと思い出した。




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