HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
「確かに言い出したのはA組でしたよ。鬼頭さんが淫乱だとか言ったのが原因だったかな」
ことの一部始終を傍観していた他クラスの男子が言い出して、石原も水月もそっちを注目した。
「な、そうだったよな?」
と男子生徒はもう一人のツレに同意を求めている。
「あ、ああ…そうだったな」
「あたしもそう聞こえた」
とそのグループにいた女子も軽く手を挙げる。
「本当なのか?」
石原が確認するようにA組男子の一人に聞いて、男子は言い辛そうに視線を泳がせた。
「本当のことじゃない」
堤内があたしの方を睨み、
「堤内」と石原が彼女を制するよう口を開くと、堤内は面白くなさそうに顔を背けた。
「神代先生、ここは生徒同士の喧嘩ということで、水に流しましょう。
子供は小さなことが原因ですぐ喧嘩を起こすものですからね」
もっともらしいこと言って、結局自分とこの生徒の否を認めないってわけだね。
あたしが石原を睨んだが、水月はそれ以上何かを言い返すことはなかった。
「まぁ確かに口喧嘩の延長戦上ってことで、こちらにも否がありますので。
ですが、
文化祭では正々堂々と勝負してください。
卑怯な手を使わず、僕の生徒たちとちゃんと向き合ってください」