HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
結局、僕はから揚げ定食と、結ちゃんはオムライスを注文して料理が来るまで少し雑談した。彼女の話によると夕飯はあまり家で摂らないらしい。週の半分は外食かコンビニで済ますと言う。だから今日のようなことは特別ではないらしい。
「栄養偏るし、お母さんは心配しない」とちょっと心配になって聞くと
「お母さんはあたしのことなんて心配しないよ、お父さんはもっと無関心だし。二人はエミナのことでいっぱいいっぱいなの」結ちゃんは面白くなさそうに顏を背け、僕はその端正な…だけどどこか寂しさを滲ませた横顔に何と声を掛ければいいのか分からなかった。
しかしそこには等身大の女子大生…結ちゃんの寂しさがちょっと伺い見えた気がして、少し安心した。
言葉を選んでいると
「先生こそ、ちゃんと自炊してるの」と逆に聞かれて僕の視線は泳いだ。
「あー、その様子じゃちゃんと作ってないでしょ。あたしに言う前に先生の方がしっかりしなよ」と説教まで食らった。
「だって、料理は苦手だし…」と思わず口ごもると
「イマドキの男は料理ぐらいできないと」と結ちゃんが意地悪く笑う。
そう言うものなのか…
そう言えばまこも料理上手だし、う゛ーん…と一人で唸っていると
「でも、できないのも結構いいかも。
だってあたしが作ってあげられるじゃん?この人、あたしが作らないと何にも食べないんだーとか、親心?くすぐられる、みたいな」
正面に座った結ちゃんはほんのり頬をピンク色に染めていて、頬杖をついてボソリと呟いた。
その言葉に何て返していいのか分からない。そう言う所が歳相応で結構可愛い、と思ったが流石に口にはできなかった。