可愛くない同居人。

健が、花火を見るのに絶好の場所があるといって案内してくれた。

そこは、屋台がある通りから少し離れたところにある神社の、長い階段を上がったところで、ひと気があまりなく、眺めがよかった。

空気がさっきとはガラリと変わって澄んでいるように感じ、何故か落ち着く。


「いいところだろ?花火がものすごく綺麗に見えるから期待してくれよな!・・・って、あ、もしかして」

健は手を振りながら、大声で誰かに呼びかけた。

「梨香ちゃーーーん!」

遠くに浴衣を着た女の子が四人ぐらいいるのが微かに見えた。

「ちょっ、あれ絶好梨香ちゃんたちだって!浴衣!浴衣だ!行こうぜ!」

やや興奮気味に健はそう言って駆けて行った。

晃はやや飽きれた様子だったが、健のあとを追いかけた。


僕はもう少しここで風にあたっていたくて、ゆっくり夜空を見上げた。





小さくても眩しいくらいに輝く星が散りばめられた綺麗な空。


ぼんやりと金色の光を放つ、綺麗な月。






『凜は、月みたいだね』


あの人が言ってくれた言葉。




僕は、月から視線を逸らした。













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